63回展の開幕を迎えて
筆 性 墨 情


会長 風岡 五城




 春の陽気が溢れんばかりの好季節、ここに第六十三回東書藝展の開幕を盛大に迎えることができました。縁の下の力となってご尽力いただきました役員の先生方、力作をご出品くださった会員の皆さん、また関係各位に対して心から厚く御礼を申し上げます。会場内は百花繚乱、筆墨の競演です。一人でも多くの人に見ていただければ幸いです。さて、恒例になっています中日新聞紙上における全面広告 でのキャッチフレーズを今回は「筆性墨情」といたしました。これは清の劉熙載(一八一三 ~一八八一)の言葉「筆性墨情は、皆な其の人の性情を以て本と為す」の一部を取ったものです。筆にはそれ本来のはたらきがあり、墨にはそれ自体特有の趣がある。筆にも墨にもそれぞれの特性があり、それを見抜いて自己の内に取り入れつつ作家 の個性を表現することが大事だという意味です。言い換えれば作品はその人の性情が根本になければならないということです。東書藝展の募集要項の冒頭に掲げられた「作家の自由かつ大胆な作品の発表」という東書藝の精神にも合致するものだと思います。 何はともあれ先ずはご覧ください。そして作品を見る時にはあまり頭で考えないで、何か心に感じるものを大切にしてください。また、会員の皆さんにおかれましてはご自身の作品の前に立ち、新たな課題に向けてのさらなる一歩を踏み出す機会に していただければと念じています。
63回展テーマ 筆性墨情